今年も、「紅白」の視聴率云々が記事になってますね。
日テレの例の事件がらみの報道で、「いわゆる『視聴率』とは、ビデオリサーチという株式会社が関東の600世帯から集めたデータである」という事実を初めて知った方も多いのではないでしょうか。ビデオリサーチ社は関東だけでなく、関西、名古屋ほか全国各地区で世帯視聴率調査を行っていて、その数字はそれぞれ異なりますが、世間では、関東の600世帯のものだけが「視聴率」として取り沙汰されています。
では、次の事実は、知ってましたか?
「ビデオリサーチ社の株主は、東京及び地方の各民間放送局と、電通、博報堂、大広 等である」。
つまり、民放各局と広告会社の出資によってビデオリサーチ社は経営されていて、かつ民放各局と広告会社が同社から視聴率データを買っているのです。何のために?主に、スポンサーに対して営業しやすくするため、広告料の根拠を提示するためです。広告料が増して儲かるのは、当然民放と広告会社ですね。まあNHKも視聴率データを買っていて、私たち制作者はそれを参考にし、励みにもしていましたが。
ビデオリサーチ社の世帯視聴率調査の方法は、テレビに機械を取り付けて「いつ、どのチャンネルが点いていたか」のデータを取る、というものです。実際に誰かが観ていたか、番組の内容を把握していたか、は、この調査ではわかりません。「猫が観ていても1%。」なんて、昔から言われています。スポンサーさんは、猫の分までお金を払っているわけですね。ならば、もっと正確で真実に近い視聴率調査方法はないの?開発はされているようですが・・・うーん、私がもし民放の社長で、収入をなによりも重視していたなら、みすみす広告料収入が減るようなデータを買おうとは思わないだろうし、そういうデータを出す会社に出資しようとは思いませんねえ。
昨年からの視聴率事件に関連して、私が声を大にして言いたいのは、以下のようなことです。
「視聴率」というのは、民放/広告会社とスポンサーとの間の、商売上・取引上のひとつの指標です。一般視聴者には関係ありませんから、話題にする必要ありません。「だって、マスコミが騒ぐんじゃん。」って?逆です。一般視聴者が興味を持つから、マスコミがそれをネタにするんです。
もし「視聴率」に興味を持つなら、その数字についてよく知りましょう。上で書いたふたつの事実は、別に業界裏情報でもなんでもありません。普通に一般公開されている事実です。「だって、マスコミが伝えないじゃん。」って?インターネットがあるでしょ、インターネットが。